就職もせずに、音楽に明け暮れていた時がありました。
ある時、インターネットに興味を持ちました。
少しだけ、HTMLを勉強してみました。
ホームページを作ってみました。
それは、周りの友達にはできないことでした。
自信満々のお山の大将でした。
砂浜で砂を盛った小さなお山でした。
音楽に見切りをつけて、就職活動をしました。
まぐれで、制作会社に入れました。
小さな会社でしたが、プロとして仕事でWEBを作っている人たちは、
全く自分の見ていた世界とは違いました。
入社して最初にもらった仕事は、自社サイトのリニューアル。
今までに覚えた全スキルを解放して、やってみたけど、
心が折れるくらいボコボコに言われました。
最終的には、上司に8割くらい手伝ってもらい、やっと完成しました。
砂浜に作った小山は、波で無くなってしまいました。
毎日毎日、量産オペレーションをやっていたら、
ベースコーディングをやらせてもらえるようになりました。
また自信満々のお山の大将になりました。
河原に石で作った山でした。
納期直前で、上司が作ったJavaScriptを先祖返りさせてしまいました。
コーディングデータにもミスがいっぱいありました。
めちゃくちゃ怒られました。
河原に作った山は、地獄の門番にすべて壊されてしまいました。
何度も何度も。
辛いなーと思った時もありましたが、
そんな時は、いつも山を壊す地獄の門番たちが、手を差し伸べてくれた気がします。
もう一回作ってみろって。 感謝。
上司たちは、遠くに見える山脈の頂上にいる遠い存在でした。
その頃、コーディングより、デザインがやりたいってずっと思っていました。
やらせてって言っても、なかなかやらせてもらえなかったです。
でも、ちょっとずつ、自社ものだったり、見出しの量産(当時はほとんどの見出しは画像だったんです)とか、やらせてもらえるようになりました。
もちろん、やらなければならないコーディングの仕事が終わってからですが。
自分の仕事ができる範囲が広がって、自信満々でした。
今度は公園のお山に登った感じでした。
100個見出しを作って、ほとんど全部直せって言われました。
自分の目は節穴か?って思いました。
(文字組みって最近はデバイスフォントだからあまりしなくなってしまいましたね。。)
すぐに、公園のお山から突き落とされました。
ただ、この頃になると、突き落とされてもまた登るようになったと思います。
代理店さん経由で、運用のお仕事を任されました。
有名な人が作ったサイトで、そこに関われるだけでも、鼻高々でした。
かなり無茶なペースでコンテンツを更新していました。
徹夜も何日もしましたが、その仕事をしていることはうれしかったです。
いつの間にか、ちょっとした丘の上で大将気分でした。
コミュニケーションエラーでミスをしました。
代理店のディレクターさんが会社に来て、
自分の代わりに、上司が謝ってくれていました。
なんとも言えない気持ちでした。 感謝。
こんな小さな丘の上じゃ、自分のケツも自分じゃ拭けないのかって思いました。
月日が流れ、自分の下に人が入ってくるようになりました。
ディレクションも兼ねて、仕事をするようになりました。
気づいたら、本当の山の上で調子に乗っていました。
最初に作った砂の山ははるか遠くに見えました。
自分がかつて登っていた公園の山には、後輩が昇り、 自分が蹴落としていました。
他の会社や代理店の人たちがいる山が見えるようになりました。
この頃になると、自分が上司でした。
失敗もしました。失敗すれば、自分に返ってきました。
でも、自己解決したり、自分で助けを求めたり、できるようになりました。
登る山は、どんどん高くなりました。
今いる山も、後ろの方から後輩が登ってくるので、
ずっと居座っていることもできなくなりました。
働く場所が変わりました。
なんの心配もなかったです。山から落ちることは考えなくなったからです。
次の山に登ることしか考えなくなったからです。
雲の上で見えなかった人たちが見えるようになった気がします。
声が届くようになった気がします。
山の大きさは、自信だってことがわかりました。
自信が大きくなれば、より高い山に登っていけるんだなって思いました。
ただ、この自信の山は飛び級で登ることはできません。
小さな山から始めちょっとずつ高い山に登って行こうというモチベーションを保つ事、 何度も山から突き落とされる事が必要だって思います。
ちょっとでも自信を持てる事があるなら、
調子に乗ってみればいいと思います。
そしたら、そこには突き落としてくれる人も出てくるでしょうし、
より高い山を登ってみろって言ってくれる人も出てくるでしょう。
自信がないと、何もうまくいきません。
人ともしゃべれません。
良いものも作れません。
良いものを作ったとしても、人に理解してもらえません。
ガンガン調子に乗って、失敗して、自信をつけてくださいね。