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会社のマネジメントとプロジェクトマネジメントのジレンマ

だんだん月一更新になってきてしまいました。
ちょっと業務に追われて書く暇がないのですが、それだけ厳選した記事を書いていこうと思いますので、よろしくお願いします。

会社でマネージャーというと「課長」のことですね。
このマネージャーというポジションはとても微妙な立ち位置で、客先に対してプロマネとして立ちつつ、自社の売り上げ担保や部下の育成を同時にこなすという二面性をやっていかなければならない人が多いと思います。

この会社のマネージャーとしての立場と、プロマネとしての立場は、僕の経験上多くは相反すると思います。

同時にこなすがゆえに、多くのマネージャーは悩みを抱えているのではないかと切に思います。
今回は、このマネージャーが抱えるジレンマについて触れていこうと思います。

お金に関するジレンマ

お金に関するところは、一番シビアですね。

会社のマネージャーとしての立場の場合

マネージャーは会社に対して売り上げと利益をコミットしていかなければなりません。
事実僕も目標がありますし、この時期は特に入るお金、出るお金ということを考えつつ、営業(提案)活動をしていかなければなりません。
売り上げをもたらすのは、僕ら制作会社の場合、案件の受注です。
もちろんより多くの仕事を決めてくるということが、マネージャーの役割です。
あとは、利益というところでは、外注費を減らし、より効率的に内製するというのが役割になります。

プロジェクトマネージャーとしての立場の場合

プロマネは、プロジェクトに対して責任を持ちます。
だから、お客様に対して、最良のものを最短でコミットするというのが役割になります。

そのため、大量の仕事を入れて雑にこなすというのは、やってはいけません。
また、最良のものを最短で納品するために、「餅は餅屋」主義になりがちです。
そりゃ、得意な人に得意なところをやってもらえば、より早く、より良いものが上がってきますよね?

そうやって、プロジェクトを円滑に進め、顧客満足度を高めるというのが、プロマネの役割と言えます。

ジレンマ

上記で示したように、会社のマネージャーとしての動きは自社の利益を求めるために、質を落としかねず、
プロマネとしての動きは、顧客満足度を高めようとするがゆえに、自社の利益を低めかねないという悲しいジレンマに陥ります。

両立場が折り合うことが、最もパフォーマンスの高い状態になるのはわかっているのですが、多くのプロジェクトにおいて、両立することが困難というのが現実です。
それは、プロジェクトの予算の関係もありますし、自身のチームメンバーのスキル的な要因、クライアント側の意識の問題といった、様々な要因によって、9割以上のプロジェクトがこのジレンマを抱えているのではないかと感じます。

人に関するジレンマ

人に関わることは、希望と現実の狭間で苦しみます。

会社のマネージャーとしての立場の場合

会社のマネージャーは、部下の成長を助長し続けることで、会社の成長につなげるというミッションの元に動きます。
他の記事でも書きましたが、スタッフを成長させるためには、現状の能力でできること以上のことに対して、責任を与え、チャレンジこみで、仕事をさせることが大切です。

もちろん失敗することもあるし、遅延させてしまうこともあるでしょう。
しかし、次回からステップアップした状態で、同じような状況を打破できるようになることを期待し、投資としてアサインしていく必要があります。
※すでにこの時点で、前章で書いた会社としての立場ともねじれが起きてますね。。。

プロジェクトマネージャーとしての立場の場合

逆にプロマネは、前章でも書きましたが、円滑にプロジェクトを回そうとするがゆえ、スタッフにやらせてあげたくても、リスクヘッジとして、アサインできないという現状にあります。

遅延やトラブルはプロマネの最大の敵です。
スケジュールと費用に余裕があるプロジェクトならいいですが、そんなことはレアケースです。

ジレンマ

このように、人に関することに関しては、会社のマネージャーは先々の会社の展望を希望として、スタッフに投資しなければならず、プロマネとしての立場としては、その投資をリスクとして排除しなければならない矛盾の中でジレンマに陥ります。

最近の風潮に同意するところ

プロマネを外部リソースに頼る

ここ最近大きめのプロジェクトに参加すると、プロマネに立っている人が、プロパーではなく社外の人のことが多いと感じます。
これは、ここまで書いたジレンマを解消するための一つの手段、なるべくしてなったプロジェクトの姿なのでは?と感じます。

そもそも会社のマネージャーとプロマネを同一の人がこなしていくというのが難しい。
プロマネを務めるということは、制作現場において成長の一過程で、プロマネが勤められるくらいのスキルになった時、会社の評価としてはちょうど、リーダーからマネージャーあたりに位置するので、たまたまかぶってしまっている。

であれば、マネージャーはプロマネをできる能力はあるのだけども、あえてプロマネをやらず、外部の中立でよりプロジェクトに集中出来る人をアサインしたほうが良いというのは自然な考え方だろうと思います。

わかっているクライアントの場合、クライアント側であえて外部の中立なプロマネをアサインして、より自分たちの理想的なプロジェクト進行を進める場合も見受けられるようになってきたと思います。

相反する思い

でも、それでも、自身や自身のチームで頑張って獲得したプロジェクトを他者に回してもらうのは、制作者である以上やりたくないというのが本音です。

また、外部のプロマネが回すことで、人に関する章で書いたような、チャレンジするということを外してしまうと、もはや会社としての存在意義がなくなってしまうのではないかと思ってしまいます。

過去記事でも何度も書いてきましたが、WEBの技術もデザインもますます複雑化し、専門性を求められるようになってきました。
もはや、一社で全てをまかない切ることは難しいということは、発注する側も含めてわかっているでしょう。
全てを「餅は餅屋」の原理に基づいて、ドリームチームを作ってプロジェクト進行するのが理想形でしょう。

その理想形に、なんとか抗っていきたいというのが、自身の思いです。

抗える方法も手段も見えてはいませんが。。。

だから、ジレンマに苛まれながらも、会社のマネージャーとしての立場と、プロマネを両立し続けているのかもしれません。