少し忙しくなりそうなので、今のうちに連投します(笑)
今回の記事ですが、あくまでも持論なのと、実際に実践したりするのは難しいことも多いので、楽しい読み物として見ていただければ、これ幸いでございます。
いきなりですが、自分は、今WEBの設計とかデザインとかという仕事をしているわけですが、はっきり言ってこれの職種になるための経歴は何一つありません。
美術大学をでたわけでも無いですし、情報処理系の学校に通ったこともありません。
大学は現在「さかなクン」で有名になった、東京水産大(現海洋大)に行ってました(笑)
理由は魚が好きだから、というのとバンドやりたくてとにかく東京に行きたかったので、当時東京の公立で一番入りやすかったこの大学を志望したというところでしょうか。
就活は全くせずに、バンドばかりやってましたね。
その頃別にバンドで食っていた訳ではないです。まあ、そういうバンドではなかったので。。。
じゃあ、どうやって生きてたかというと、和食の厨房で働いてたんです。
ほぼ毎日一日中5年ほど、お世話になってました。
僕は、バンドと同じくらい魚と料理が好きなので、結構楽しかったわけです。
結構ちゃんとした厨房だったので、親方は厳しかったですが、料理の色々なことを学べました。
なので、今回は料理の体験を今の仕事に落とし込んでいるということを書いてみようと想います。
料理は最強のデザイン
前置きが長くなりましたが、やっとここから本題です。
はい、持論ですがタイトルそのままです。
なぜか?
答えは簡単です。
特にユーザー体験という観点から考えたとき、料理というものは、最強のクリエイティブで、料理人は最強のデザイナーだと思うからです。
人間が体験できる感覚に五感があります。
「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」ですね。
第六感なんてのもありますが、ちょっとオカルトチックだったりするので、一旦五感にとどめましょう。
ぼくらがやっているデジタルや映像のデザインから考えると、この感覚の中で、ユーザーに与えられるのは、まず「視覚」、そして「聴覚」、まあまあデバイスの発展によって、なんとか「嗅覚・触覚」までは疑似体験させられるかもですね。。。
平面のグラフィックデザインの領域はどうでしょう?
これも主に「視覚」、触れるものだったりすると素材の「触覚」も使えるかもですね。
プロダクトデザインは?
これも「視覚」「触覚」、石鹸なんかだと「嗅覚」、オーディオ製品だったりすると、「聴覚」もあります。
でもこれらに共通して言えることは、、、「食べられません」、たべちゃいけません(笑)
その点、料理はどうでしょう?
季節を感じさせる美しい盛り付け。
厚い鉄板で焼かれるジュウジュウという音や母親のリズミカルな包丁のリズム。
食欲をそそる、香ばしい香りや、ハーブの香り。
冷やしておいしい食材は、キンキンに冷えた器に、、、熱々のお鍋を待ちきれずにさわる感覚。
そして、何よりほっぺたが落ちるとまで言い表される「味」。
料理は、ずうっと昔から、デフォルトで五感に訴えられる要素を持ちえているのです。
大昔から、人をもてなすということに対して、料理が用いられてきたのは、必然ということですね。
料理を楽しんでもらうことで、五感すべてで、気持ちよくなってもらうということです。
いやはや、もはや最強のデザインと言って良いと、ぼくは切に思うわけです。
そして、その五感を考慮して料理を作り、プロデュースする、板前さん、コックさんは、最強のデザイナーと呼ばざるをえないでしょう。
余談ですが、飲食による接待は今ではあまり良い印象を持たれないですが、僕はある意味良いと思っています。
このサイトのスローガンにもしていますが、プロジェクトと言うのは、クライアントも請負側も一つのチームとなって臨むことが望ましいです。
そのチームビルディングにおいて、仲良くなるというのはとても重要な要素でしょう。
同じ釜の飯を食うではないですが、五感すべてを通じてお互いに楽しむことで、心が打ち解け、結束につながるのであれば、それに越したことはないと思うのです。
デザインを志すなら、料理をやってみるのも良い
以前の記事で、僕はバンドをやる中でUXというものを感じたと書きました。
それはステージで表現したことに対して、目の前のお客さんからダイレクトに反応を感じられるという観点のものです。
このように現在の自分のUXやデザイン表現に関するバックグラウンドは、業界外で体験したことのほうがむしろ比重が大きいわけです。
今回テーマにしている「料理」はその中でも特に大きい影響を与えています。
以降実際に自分で経験している「和食」と「WEBデザイン」における関連性についてというところに限定してますが、思ったことをツラツラと綴ります。
誰かに対して「特別」を提供するということ
WEBサイトが最高のパフォーマンスを出せるにはどうしたら良いでしょう?
それは、訪れたユーザーに対して、求めている情報を即時に返し、想像以上の付加価値体験をさせてあげられ、そこに掲載される企業や、商品に対してより良いイメージを持ってもらうことでしょう。
そのイメージと得られた正確な情報により、ユーザーはものを購入したり、企業のファンになったり、情報を拡散してくれたりするわけです。
UXやデザインを考える上で、上記「想像以上の付加価値体験」というのが、非常に大切だと思います。
ようは、正しい情報をいち早く正確に伝えることは、教科書とテンプレートがあればできるのです。
デザイン的(見やすく整ったという意味での)に、秀逸なテンプレートと言うのは、無料で多くのテンプレートを利用することができます。
情報の整理方法に関しても、様々な書籍や、ネット上の情報が存在するでしょう。
しかし、多くの場合、上記セオリー通りのデザインで、人を行動に移させることは、難しいのです。
では「想像以上の付加価値体験」をさせ、行動に移してもらうには、何が必要なのでしょう?
それは、誰かに対して「特別」を提供することだと思います。
この説明は、料理に置き換えるとすごく顕著にわかります。
はい、これは我が家のある日の食卓です。
献立は、イサキの姿造り、そのほかお造りは、相模湾産のワラサ、スズキ、今めっぽう高いスルメイカとアラ煮、写ってないですがヒラメのアラ汁です。
これを見た人、これが一般家庭の夕ご飯だとして、どう思いますか?
殆どの人は、「Wow、うまそう」と言ってくれるのではないかな?と思います。
それと同時に、この日の食卓は、何か記念日、特別な日なんだろうなって思うでしょう?
そうです、これは特別な日の食卓です。
この日は、普段子どもたちに色々なものをくれたり、色々な経験をさせてくれている、じいちゃん(自分の父親)が、はるばる関西からうちに泊まりに来た日なのです。
僕は、特別な日にはほぼ必ず、魚屋に行って旬と産地、魚の状況を吟味して、できるだけ丸一本で魚を買います。
そして、皿のサイズから、最も適した魚を姿造りにします。
じいちゃんは、自分と同じく元水産健児(水産大学生)で、漁業関係者の知り合いも多く、魚のウマイ瀬戸内に暮らしています。
だから、できるだけ旬でウマイ湘南の魚や、最近の漁獲量が減って中々食べられないイカをセレクトしました。
ちなみに、この日はアラ煮の大根の外側をかつらに剥いて、ツマも作りました。
なぜそこまでするのか?
最初からこういうことができたわけではありません。
いくら5年ほど調理場でお世話になっていたとは言え、お造りなどは料理長や先輩板さんが担当するため、下働きの立場が経験できるようなものではありません。
せいぜい大量のアジをおろすくらいです。
だから家でやり始めたのも最初は、見よう見まねです。
でも最近は、だいたい出せばみんな喜んでくれるようになりました。
そう、このレベルまで続けられたのは、「みんな喜んでくれる」からに他ならなりません。
誰かのために「特別」を提供すれば、当たり前ですが喜ばれるのです。
この感覚が大事なのです。そして、その喜ばれることをうれしいと感じることが、もっと大事なのです。
話は戻りますが、テンプレと教科書、今まで貯めたネタの引出しだけで、作ったもので、「特別」は作れますか?
それはせいぜい、スーパーのラップで包まれた冷凍マグロ、養殖タイ、養殖ハマチの3点盛りです。
でも、その3点盛りでも、プラ容器から有田や九谷とまではいかなくても、気の利いた陶磁器のお皿に盛り付け、季節を感じる青モミジをあしらってあげたら、どうでしょう?
魚の血がにじんだ部分のツマを取ってあげたらどうでしょう?
それだけでも、ぐっと「特別」になるはずです。
UXやデザインを志す人にとって、一番大事なのは、誰かが喜ぶことをうれしいと思う気持ち。
そしてそれが癖になっていることではないかと思うのです。
この業界にいると、それがリアルに感じられる瞬間は数少ないと感じます。
だからこの感覚を持ち続けるのは、実は難しかったりするのです。
そんなときは、誰かのために五感を満足させてあげられる「飯」でも作ってみてはどうですか?
そして一手間掛けてでも喜んでもらったとき、「あ、この感じ悪くないなって」思っていただければ、これ幸い(笑)
では。