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WEBデザインの今昔

僕がこの業界に入った頃、WEBデザインってもっとキラキラしていました。

昔はよかった・・・っていう

中村勇吾さんのような大スターとして世の中からもてはやされ、
Flashのインタラクティブなサイトが、 WEBサイトを新しいコミュニケーション領域に変えていくとみんな信じていたように思います。
新しい、斬新、カッコいいサイトが溢れ、WEBデザイナーは、確かにしんどかったけど、 イキイキと仕事をしていた気がします。

その頃からおよそ10年経ちました。
10年も経った、10年しか経ってない、どちらなんでしょうね?
WEBデザインの世界は、いま色あせてしまったなと思います。

サービス事業を行い、アプリケーションやECサイトのUIをUXの観点からデザインする、 デザイナーが、今や輝いてるなーと感じます。

10年でなにが変わった?

10年ぶりに、当時の「プロフェッショナルの仕事の流儀 中村勇吾編」を見てみました。
やっぱすごい方だなーと思いつつ、WEBデザインが色あせてしまった理由がなんとなくわかった気がします。

確かに当時、業界最先鋒のWEBデザイナーはみんながスターでした。
多くのデザイナーの憧れだったと思います。

番組中で、勇吾さんはこう言っていました。
「最終的には、個人の頭の中からしか新しいアイディアは出てこない」

この頃からの多くのWEBデザイナーは、この勇吾さんの考えと同じく、
必死で脳みそをこねくり回し、絞り出したアイディアを何案もクライアントにぶつけてきたことでしょう。
自分もない脳みそを一滴残らずしぼるくらい絞ってました(笑)

ですが、このやり方って今思うと、博打だし、非生産的なやり方だなって思います。
そして、デザインっていうかアートに近い作り方なんじゃないかと思います。
手法や表現はデザインだけど、アウトプット自体は、個人の内側からでてくるアート。
さながら、クライアントはそのアートを買い取るパトロン…。
まさに、気に入ってもらえるかだけが浮き沈みに左右する、運の世界。
そうなると、頭の中からより多くを絞り出せるデザイナーの奪い合いになったり、
デザインの良し悪しで勝てないと判断した場合は、無理な価格競争を始め、安売り合戦が始まる…。
業界の相場が下がっていき、業界がブラック化、ダークサイドに堕ちる人続出…。

いま必要とされている「WEBデザイン」のカタチ

ここ最近(今キラキラしてるっぽい)サービスデザインの方々と話す機会が多いです。
彼らは、自分たちでサービスを作り、ユーザに使い続けてもらうことで、生計を立てています。
だから根本的に違うんです。
彼らは、ユーザを調べ、行動を知り、経営・デザイン・開発が互いにコミュニケーションしていく中で、デザインをアップデートしていきます。
運ではなく、明確に効果が得られるゴールを設定し、そこに向かってできる限り最短でたどり着ける動きをします。
ユーザが離れてしまうのは死活問題ですから当然ですね。

WEBデザインの世界にも、もちろんこのようなロジカルな進め方は存在しています。

ですが、ここ10年の間に多くの人がアート的なデザインを行ったことで、業界全体にロジカルでない進め方が定着してきたように思います。
またデザイナー側も、アートっぽいこの進め方を何も考えずに続けてしまっている。

本来中心にあるべき、ユーザビリティとかアクセシビリティとか行動データって、
いつまでも続くゴールのないデザインを止めるための逃げ道として使っていたWEBデザイナーも多いんじゃないでしょうか?

WEBサイトのリニューアルコンペで、デザイン案が勝敗を左右するのが物語っていますね。

本来評価に値するデザインというのは、課題に関係のあるデータの調査や、よりユーザに使ってもらうようなサイトであれば、ユーザビリティテストを実施し、ブランディングのためであれば、しっかりとした社内へのヒアリングや、ターゲットとなるべき人へのアンケートといった、工程を経て、ゴールをみんなが具体的にイメージした上でないと作れないはずです。

一般的なデザインのスキルを見たいだけなら、担当デザイナーのポートフォリオを比べるだけで良いのでは?と思ってしまいます。

生き残るためには、まずは基本から

時代の流れによって重要視されるものが変わってしまうのは仕方がないです。
この流れの中では、WEBデザインは、今後、今のようなメインロードではなくなってしまうかもしれません。
ですが、今これ以上価値を落とさないために、たとえWEBデザインがなくなっても、
みんながデザイナー、エンジニアとして生きていけるために、必要なことがあります。

当たり前のようでできていない人が多いと思います。

クライアントの課題を自分ごととして興味を持つ。
客観的に課題を見つめる。
課題を解決するために必要なことを考える。
不足している情報があれば、聞く。
ゴールの認識を皆で合わせる。

まずは、基本的なところから始め、
染み付いてしまったクセを治していければと思います。