最近ワークショップを使って、作るものを決めると言うプロジェクト提案に参加しています。

ディレクション協会で、身近にセミナー主催やワークショップ主催をしている人がいたり、お手伝いはできる環境にあったわけですが、実際に仕事としてこの様なたぐいの案件を目にすることはなかったため、ちょっとワクワクしますね。

提案書を作っていていくつか気付いたことがあるので、記事にしようと思いました。

なぜ大企業はスタートアップのようにいかないか?

表題のことを考えると、よく上がる答えとして、大企業はスタートアップのようにスピーディな決断ができないからという感じでしょうか?
ようは決済フローが多重化していて、企画アイディアが途中でポシャることが多々あるってことかな?

まあ、上記も理由としてあると思うんですが、企画あげる方にも問題あるんじゃなかろうかって思うんです。

会社って大きかれ小さかれ、大枠の目的は一緒なわけで、要は利益をあげて、会社を潤わせて、そこで働く人の生活を豊かにするための組織な訳ですよね?
そのために、ものやサービスを作ってるのですから。

企画ってのは、ものやサービスを作るための計画です。
もちろん最初の利益をあげ、、、ってところを加味すると、ユーザーに使ってもらわなければいけないわけです。

この企画ってところが、いかんせん曖昧だったり、的を得ていないことが多いんじゃないでしょうか。
なんというか、「それほんとに使ってもらえるかな?」ってことが多い気がします。

スタートアップの場合、短期間に少人数で「使ってもらえるかどうか」について死ぬほど考えないと、実際にみんな死んでしまいます。
軍資金が尽きる前に、軌道に乗せるなり、M&Aしてもらうなりが必要になるので。。。

だからアイディアに対して、密なブレストを重ね、市場やユーザーを調べ、リスクやコストをはじき出し、検証した上で一気に作る。

今回の仕事ではこのスタートアップでは当たり前のことを、ワークショップとして大きい企業さんに持ち込むわけです。

こういった類の仕事が今まで見受けられなかったってのは、自分の立つレイヤーが低すぎたわけではなく、多分この工程をやる企業さん自体があんまいないんだろうなって思います。

特に自分たちが受託する規模では皆無に近いんでしょうね。
でも規模にかかわらず、みなさん何かプロジェクトやる限り失敗したくないでしょうから、やるべきだとは思います。

RFPはでっちあげの大義名分?

話は変わって、通常の僕らがやってきたお仕事のことを書きます。
RFP、提案依頼書。何か新しいお仕事が始まる際に最初に目にするやつです。

発注側の企業からベンダーに対して、提案してもらいたい企画の内容が書いてあるもので、例えば以下みたいなことが書かれています。

発注(提案依頼)をするに至った背景や目的

概要が書いてあります。まあ、僕らベンダーにとってはオリエンで受ける内容と同じことが書いてあるので、読み飛ばしたりしてしまいます。

●●サイトの現状

現状のWEBサイトの範囲とか内容、解析データとかが書いてあります。

●●サイトの課題

上の解析データと関係ありますが、良くないところが列挙されています。

要件、やりたいこと

こんなデザインがいいとか、こういう機能がほしいとか、サーバのこととか、運用のこととか、具体的な希望が書いてあります。

その他

体制とかスケジュールとか、お金のこととか書いてあります。

体裁的にはよくまとまっているんです。この資料。
だから自分たちはこれを見て、これにそって、もっと具体的な企画書を作り、見積もりをたて、プレゼンに臨むわけです。

このRFPを通じたやり取りは、殆どの場合、発注側の企画部門(マーケさんだったり広報さんだったり、営業企画さんだったり)とベンダーの間で行われます。
体裁が小難しいため、RFP作成自体をベンダー側が請け負うサービスなんてのもあるくらいです。。。
でもよく考えると、上記メンバーのやり取りでは、実際にものを売っていたり接客している現場の方々の意見や、実際のユーザーの意見ってどこにあるのだろう?って感じです。

なんかでっちあげの大義名分みたいです。

お上「なんか遠くの地方で、野蛮な民族が開拓の邪魔をして困っとるみたいぞよ、やっつけるぞよ」

お侍たち「では、私めが千の軍勢で成敗してきます」「いやいや私めがこの最強の騎馬軍団で」「いやいや、私共なら鉄砲という最新兵器で!」

お上「なるほど、鉄砲を持っている軍勢なら勝てそうだ。そなたを征夷大将軍に任ずる。蹴散らしてこい!」

遠くの地方では、原住民と開拓者の間で共存したほうがメリットがあったかもしれませんが、都の偉いさんだけで話し合った結果戦争で解決。

実際RFPには、割りと具体的な方向性は書かれているので、ベンダーとしてはそこに沿った提案をします。
もちろん、ベンダー側には発注側のリアルな課題は知るすべは無いので、そこからまた勝手な想像が膨らむ。
プレゼン前にヒアリングの機会を貰ったとしても相手は、現場やユーザーではないので、上記のお上とお侍の会話のようなことになりやすいのです。

これでは本質的な改善からどんどんズレていってしまいますね。

ワークショップは正義?

虚構の大義名分でなくするためには、前段(企画段階)から、様々な意見を取り入れる、気づきを得るということが必要になります。

その手段として、ワークショップを行うというのが最近少しずつ流行ってきたのでしょうね。

ワークショップにはいくつかルールがあります。

  • 話を着飾らず、感じていること、思っていることを率直に意見として出す。
  • なるべくたくさんの意見を出す。
  • 出た意見に対して否定しない。

などなど、現場の人も交えワークショップを行うことで、机上の空論では絶対に気付けないような発見がたくさん生まれるでしょう。

ただ、ワークショップで決める方法を急に始めましょうと言っても、人を集められないとか、やっても話がとっちらかるだけで進まないとか、様々な障壁があります。

だから、ワークショップを仕切ってほしいとか、前段から一緒に考えてほしいといった相談が僕らに対して増えてきたんではないでしょうか?
クリエイティブの現場は、わりかしこういったことを以前から普通にやっていたので。。。
設計やデザインを考えるとき、ブレストやったり提案書作るときの思考も、同じようなものですからね。
それに、自分たちのような外部のベンダーの人間が、入り込むことで客観的にワークショップの中で行われる議論を見つめることもできます。

ワークショップは正義か?と聞かれれば、僕は正義だとは思います。
ですが、ただその工程を行うだけでは、あまり効果は期待できないとも思います。

ワークショップをするということは、色んな人の意見を聞いて自分だけでは得られない気づきを得て、更に素晴らしい考えに発展させるということです。
この流れを普段からできるようにする、ということが本当に望ましい状態だとおもいます。

そしてその流れの中で、あれ?この疑問はユーザーに実際に聞いてみんとわからんよね?とか、マーケットデータが足りんから、アンケート実施しなきゃ、みたいな話に発展すればもっとよいのでは?と感じるのです。

今後もし自分たちにワークショップをサポートするような仕事が実際に決まったときは、そのワークショップ自体をうまく導くことはもちろんですが、
プロジェクトが終わったあとでも、発注側の企業さんで決め事や企画があったときは、自分たちで同じような話し合いの場が生まれるように、こういう決め方って合理的でいいよねって思ってもらえるようにしたいと思います。

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